
春のオスロに戻る。ノルウェーはもはや「戻ってくる」という感覚になりつつある。

オスロ郊外にある本社にて来春のセールスミーティングに参加。僕にとって二回目のセールスミーティングだ。

スウィートプロテクションは、平昌オリンピックで5個のメダルを取った。なんだかよく分からないが、きっとすごいことだ。だって元々、ノルウェーの片田舎のガキが山で自由に遊ぶための道具を作っていただけのブランドだったのだから。

この一年の旅を共にした盟友のビヨルンと、その悪ガキ創始者のアトレ。アトレはテレマーク世界選手権の優勝者でもある。なんだかよく分からないが、きっとすごいことだ。

この冬に日本に遊びに来てくれたセールスのクリスが深刻な顔で近づいてきた。
「ホダカ、ミーティングのまず最初に、とても悪いニュースを伝えなければならないんだ」
「なに?」
「とても言いにくいんだけど...」
「オーケー、何があっても驚かないよ」
「......」
「正直に言ってくれ」
「今日のカンパニーディナーは“スシ”だ」
「えっ......」
「申し訳ない、私が気づくべきだったんだ」
「えっ......」
(実話です)
「ホダカ、ミーティングのまず最初に、とても悪いニュースを伝えなければならないんだ」
「なに?」
「とても言いにくいんだけど...」
「オーケー、何があっても驚かないよ」
「......」
「正直に言ってくれ」
「今日のカンパニーディナーは“スシ”だ」
「えっ......」
「申し訳ない、私が気づくべきだったんだ」
「えっ......」
(実話です)

ヨーロッパ各国のセールスエージェント達。ドイツ、スイス、オーストリア、フランス、アンドラ、イタリア、スペイン。北欧が売上の半数を占めるブランドなので北欧の事業は自社管轄。北欧以外の彼らはエージェント。

彼らと会うとき、いつもお互いに旅をしている。彼らとは、いつも新しい旅の情報交換をしている。彼らからブランドを紹介され、僕も紹介する。立場的にも、心情的にも、真の意味での僕の同僚は彼らだ。

ミーティング終わりに、ビヨルンが一日ゆっくりと時間を割いてくれた。
「この一年はどうだった?」
「なかなか悪くないね」
「そっちは?」
「まったく悪くないね」
「この一年はどうだった?」
「なかなか悪くないね」
「そっちは?」
「まったく悪くないね」

北欧の春はいつも清々しい。首都の港にはカヤックプールが整備されていて、その脇には無料のシャワーが付いている。率直に言って、残念ながら、羨ましすぎる。

日本の旅のお礼にとクリスが自宅ディナーに招いてくれた。彼の子供と夕暮れの森で遊ぶ。全力で遊ぶ。
「言葉が通じないのにもうホダカになついてるよ」
「オレは子供と遊ぶのが好きなんだよ」
「子供って自分と同じ目線で一生懸命になる人が好きなんだよ」
「...。それは褒めてるのか?」
「言葉が通じないのにもうホダカになついてるよ」
「オレは子供と遊ぶのが好きなんだよ」
「子供って自分と同じ目線で一生懸命になる人が好きなんだよ」
「...。それは褒めてるのか?」

この街が好きだ。それは、きっと僕が、とてもイイ仲間と、とてもイイ仕事をしているからだ。
hodaka