夕食準備。合羽橋で購入した15人前の業務用パエリアパンは当会の共同装備としてすでに10年のキャリアを誇る。

業務用なだけに許せないほど重い。

しかし、業務用なだけにとてつもなくウマイ。

ここは新潟である。雌雄を決せねばならない。甲乙付け難かったのか、甲乙を付ける理性を失ったのか、ちょっと曖昧で覚えていない。

最終日、突然の大嵐が島を襲った。

天国のパドリングから、地獄の暴風雨。

本日の定期航路は全便欠航いたします、と島にアナウンスが流れた。明日はみなトーキョーでシゴトなのだが、そう言われても、いかようにもしようがない。

「帰れないなんて残念だなあ」

「とにかくカイシャが心配だなあ」

「落ち着いた冷静な判断が必要だ」

「そうだな、まずは腹ごしらえして、ゆっくり対策を考えよう」

「情報の収集が肝要だ」

「ゲストハウスで島の人々から情報を得よう」

「どういうストラテジーでリスクを回避するべきだろうか？」

「うーん。そこが難しい問題だな」

翌朝。

「飲み過ぎたなあ」

「いやあまったくだなあ」

「今日カイシャじゃなかったっけ？」

「それよりだいじなコトってあるよ」

hodaka